【劇評】松本美須々ヶ丘高校演劇部 『話半分』 ピカデリーショートミュージアムより

 ピカデリー・ショート・ミュージアム in 2016 サマー

 

今年で3回目を迎える、短編演劇祭。

今年は4つの短編演劇と特別公演と銘打って高校演劇が1公演行われた。

 

このピカデリー・ショート・ミュージアムは、秋の「まつもと演劇祭」と並んで小劇場演劇の二大祭典ともいえるイベントである。

当地区で活躍している劇団のみならず、長野や上田の劇団、ユニットが参加して30分という短い公演時間を使って精一杯表現しようという試み。

 

 

特別公演 松本美須々ヶ丘高校演劇部「話半分」

 

今回のPSMでは、特別公演枠を設け、高校演劇部の公演を行った。60分。

松本美須々ヶ丘高校演劇部は松本地域の有力校の一つ。

春には、高校合同公演の主力としてピカデリーホールで公演している。
 
 
 
今回は、反戦物。

話を半分しか聞けない少女は、通信兵として電話交換士になる。

彼女には彼女にしか聞こえない声が聞こえた。

それは死者からの声。

戦場で華々しく戦死したと思われていた青年の声が聞こえたが、彼は惨たらしい戦場の様と逃げ惑うばかりの自分を晒して帰ることの恥を母親に伝えようとしていた。

 

misuzu03
反戦物と片づけるよりも、言葉の意味やら言葉のコミュニケーションと時代性を表そうとしている作品だと感じる。

全体を通して戦場でのシーンや母親とのディスコミュニケーションが切なくて重い。

 

misuzu02

misuzu06

 

重厚な語り口が高校生らしからぬ表現と感じる。

演出は、野田秀樹の影響を感じさせる、スピーディーで大仰。

しかしそれがこの大舞台では生きるように思えた。

 

misuzu

misuzu04

misuzu05

 
 
 

【総評:全体を通じて】

このピカデリー・ショート・ミュージアムという試みについて大変に意義を感じる。

それは、大変お得な金額で沢山の出し物を堪能できるという点もそうなのだが、もう一つのちがう趣があるからだ。このイベントは多くの地方劇場が定期的に行っている「○○演劇祭」という形式ではあるが、この試みはそれらとは趣を異にしていると思う。

それはやはりこの町ならではの表現の多彩さだ。沢山の劇団や表現者がその活動をきちんと維持できてこそ、このような形式での演劇祭が盛り上がる。

事実PSMに登場してきている劇団は毎年メンツがちがう。

これこそが、このイベントの力であり、面白さだろう。

主催者は大変であろうことは想像できるが、今後もぜひ継続していってもらいたい。

 

 

(ピカデリーホール客席より)

 

 

【作品名】特別公演 松本美須々ヶ丘高校演劇部『話半分』(ピカデリー・ショート・ミュージアム2016サマー)

【上演日】2016年7月17日

【脚本】郷原玲

【出演】松本美須々ヶ丘高校演劇部

【上演時間】60分

 

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です