舞踏家 石井則仁(山海塾)

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世界各国で活動し、高く評価されている舞踏グループ「山海塾」。

その若手舞踏手「石井則仁」が松本でダンスワークショップを定期開催している。

 

第一回目は昨年このピカデリーホールで行われ、今月は市内の別会場で2回目が開かれた。

今回も松本演劇界の拠点であるピカデリーホールに足を運んでくれた石井氏。

日本の地方都市ではまだ認知度の低いコンテンポラリーダンスや舞踏について

また、各地で開いているワークショップの意義について聞いた。

 
 

舞踏家・石井則仁の背景。そして表現の場として、舞踏を選んだのは?

 
 
元々はブレイクダンスをやっていました。

僕の育った街では、ダンスで活動する土壌がなかったので

夜、路上で練習したり、外でパフォーマンスする毎日。

 
その後、ヒップホップに進み

いろいろなアーティストのバックダンサーをしたり、メディアでも仕事をしました。

ただ、当時はヒップホップでは食っていけなかったし、

先駆者からの枠組みでカテゴライズされることにも疑問を感じていた…。

 
 

表現の自由を求めて、さまざまなダンススタイルを探っている中で出会ったのが

コンテンポラリーダンス。

これまでの概念がガラリと変わった。

 
その後、コンテンポラリーダンスや舞踏の勉強を続け、

さまざまなDance Companyの作品に参加する傍ら

ダンサーとして蜷川幸雄氏や宮本亜門氏の演劇作品にも出演しました。

 
 

山海塾での表現と、石井則仁としての活動ではどういった違いが?

 

山海塾では、あくまでダンサー、いち舞踏手。

演出家の表現したいことを実現するために集団の一人として与えられた要素を全うするのが仕事。

動きも完全にフィックスされたものです。

 
石井則仁としては振付家であり、作者。

自分の精神世界、思考を作品として創り上げていきます。

 
現代社会に生きる肉体とそこに宿る狂気とエロス…

こういったモノに強く惹かれる自分がある。

現代社会の異常さをコンセプトにしています。
 
 

独創的な演出、踊り、複雑な構成…。その創作方法、組み立て方は?

 
 
表現したい「何か」は、当然あります。

そこから始まり、

自分がやりたいことを表現するための主体的な思考と、

もう一つ客観的な視点での思考、この2つの次元を組み合わせて作っていきます。

自己表現、感情表現だけで完結させることはありません。

 

コンテンポラリーや舞踏を見慣れていない人は、どういった見方をすれば?

 
 
まずは深く考えず、一度見てもらいたい。

そこで何を感じるか、また感じないか、すべて見る方の自由。

難しく考えず、「動きが凄かった」とか「衝撃的だった」もしくは「よくわからなかった」というような素直な感じ方でいいので。

 
ただ、作り手としては、常に観た人のマインドを変えたい、その人間の価値観を壊すようなものを作りたいと考えています。

表現者として、観る人の精神にインパクトを与え、そして人生を変えられれば本望…。
 
 

即興で踊っているように見えるかもしれません。

細かな物理的な動きは即興ですが

感情から沸き起こる「質感」はいつも同じ。

表現の「質感」は、いつでも同じものを再現しています。

 
ちなみに白塗りは、男性や女性、人間性など、あらゆる概念のない存在としての象徴です。
 
 

各地でワークショップを開催。その趣旨は?

 

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コンテンポラリーダンスや舞踏に興味をもってもらい、体験し、広く認知してもらうのが一つ。

もう一つは経験者のレベルアップです。

 

ダンサー向けの講義と、初心者向けの講義は分けています。

ただ、技術的な何かを教えるということではなく、感情の表現の仕方を伝えるだけで

あとは参加者が自発的に動きを創っていくというスタンスです。

 
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普段、することのない動きをするため、使っていない筋肉を使うので、皆さん筋肉痛になるようです。

初心者も気持ちを開放できるので、シンプルにとても楽しいと…。

 

松本は、演劇などの活動が盛んな街。

アマチュアでも多様な活動をされている方がたくさんいる。

そして、常にアンテナを張り、新しい何かを取り入れようという貪欲な空気に溢れている。

この街の芸術における潜在力は計り知れない。

定期的に開催して、地域全体の表現力の底上げになればいいと思っています。
 

石井氏とワークショップ実行委員会のメンバー

石井氏とワークショップ実行委員会のメンバー

 
 
(2016年4月18日・ピカデリーホールにて)

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