【劇評】シアタープロジェクト・サザンクロス 3rdセッション『HAMLET 2』

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シアタープロジェクト・サザンクロスは役者・椿宏尚が一人芝居で古典をやるという企画名。

これまでも様々な古典をたった一人で演じてきた。

地方において古典名戯曲を、多くの方にご覧いただくことは意義あることだ。

名前を聞いたことがある名作でも実際に芝居として見る機会はごく少ないからだ。

さらに一人芝居と言う形式もこれまた面白い企画だ。

古典の戯曲なら最低でも20人近い登場人物が出て来る。

それを全て一人で演じ分けると言うのだから、それだけでも興味深い。

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さて今回は、一人芝居ではない。

セッション企画と銘打って客演を迎える形での二人芝居。

さらに古典名作中の名作シェイクスピアの「ハムレット」全編(脚色)である。

舞台は、チェスの盤面よろしく全面が白と黒のスクエア模様。

その上に白と黒の四角の箱が3つのみ。

さらに俳優も白と黒の衣装に分かれている。

客席は、舞台をコの字に囲んでいる。

ピカデリーホールのステージのみを使った小劇場スタイルで、とても見やすく、声も聴きやすい舞台。

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二人しかいないため、役はどんどん変わっていく。

さっきまでハムレットだったのが、オフィーリアを、そしてすぐに小姓ホレイショーと目まぐるしい。

しかし無理を承知で演じる潔さからか以外にわかりづらくない。

ただし、誰が誰だかわかればいいと言うレベルでは・・・

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今回の作品であらわになったのは、古典をそのまま演じることの恐ろしさだろう。

演劇には2千年の歴史がある。

イギリスでは、ハムレットかリア王を演じて初めて、偉大な俳優と呼ばれる。

この偉大すぎる作品を演じるには、表現力の幅や想像力、力量の全てが大きくなくてはならない。

希代の名優たちの演技は今でもスクリーンを通じてみることができる。

最近でもケネス・ブラナー、メル・ギブソンによる映画ハムレットは名高い。

そんな名優でもこの役はダダならぬ壁があると言う。

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振り返って本作はどうだったか?

誠に残念だがその壁に跳ね返されたという感想だ。

現代人であり、現代の若者が演じるハムレット、と言うことならもっと現代風に・・例えばIT企業の起業家とかの脚色が欲しい(実際にある)。

そうでないなら中世デンマーク皇子と言うリアリティが望まれてしまう。

 

今回のように、一人芝居と言うスリリングさを除いてしまうと、後は直球による勝負となる。

たとえ二人だからとは言え言い訳にならない。

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世界でも有名な場面の数々を名優たちの演技と比較して見られるということになる。

どんな俳優でもこれは荷が重いだろう。

それでも挑戦するという心意気は買うのだが。
 
楽曲の使い方も疑問だった。

どこを現代風に軽くするべきかを演出的に外してしまっているように思える。

様々な工夫でこの重厚な戯曲を現代人にも受け入れやすくしようとする努力が空回りしている感じだった。
 
そんな中で客演の有賀慎之助は、こういう大きな芝居にはピッタリはまる俳優だ。

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造作も大きく見栄えも良い。声も通るし集中も切らさない。
 
ただやはりセリフに荷が重い感が出ていた。古典の難しさだろう。
 
一つの役でさえ難しいのに何役もとなると、本人の中で消化できているのかが疑問になってしまう。

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いろいろと難しい感想ばかり並べたが、それでもこの企画自体は大変面白く、価値を感じる。

偉大な作品とは、生涯をかけて挑む作品だという覚悟が見たいのだ。

次作に期待したい。

 

(ピカデリーホール客席より)

 

 

 

 

 

【作品名】シアタープロジェクト・サザンクロス 3rdセッション『HAMLET 2』

【上演日】2016年3月12・13日

【原作】 W・シェイクスピア

【脚本・演出】 椿媛

【キャスト】 椿宏尚、有賀慎之助(客演劇団ゲキブツ)

【上演時間】 約2時間

 

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