【劇評】長野県高校演劇リーダーズシアター公演 『あくしょん!』 team昆虫図鑑

 

長野県高校演劇リーダーズシアターとは、松本市内の高校三校の演劇部が合同で一つの作品を作り、公共ホールではないピカデリーホールという一般会場で公演するという稀有な企画である。

このような企画が立ち上がったのは再来年2018年に全国高等学校総合文化祭が長野県で開催されることが理由の一つと聞いた。

これは 全国から各都道府県を代表する高校生が集結し、美術作品の展示や演劇・音楽の舞台発表などの芸術・文化を披露する、日本の高等学校の文化の祭典。全国高等学校総合体育大会(通称:インターハイ)に対比して、「文化部のインターハイ」とも呼ばれる。(ウィキペディアより)

とにもかくにも、こうした企画が立ち上がり、実際に公演に至ったことを大いに評価したい。

また関係者の努力の賜物でもあろう。素晴らしい試みであると思う。

 

内容は、本当は吹奏楽をやりたい主人公マユが入学した高校に、たまたま吹奏楽部は無く、仕方なしに演劇部に入部したのだが、そこには女王のような演出の高橋先輩がいて、部を仕切っていたのだ。

主人公のマユは、演出助手2号として見習いから演劇を学ぶのだがやる気の無いマユには他校で吹奏楽を楽しんでいる旧友たちが羨ましくてならない。

 

様々な高橋女史によるシゴキにも耐えながら演劇に触れていうるちに、その楽しさに段々とのめりこんでいくマユ。

しかしあることから有名ミュージシャンの高山と知り合ったマユは、バンドに入らないか?と誘われる。

このまま演劇を続けるのか?音楽の道に戻るのか?

迷うマユ。

大会は目の前に迫る・・。

 

高校演劇部の身内ネタとも思われる内容だが、劇画タッチの作風で誰でも楽しめる内容。

登場人物もデフォルメされ「女王様演出家」とか「チャラ男ミュージシャン」とか、よく目にするような多少チープな造形の人物たちが続々登場する。

演劇部の話だけにダンスシーンやチャンバラシーンもあってとにかくいろいろ満載しました感のステージだ。

 

舞台は、基本何も無い素舞台であり、状況や場所は目まぐるしく変わる。

シーンの変化は多く、役者の出入りも頻繁であるが、その全てを照明と役者の演技によって見せているのでかなり騒がしい舞台とも言える。

また会場負けした声量の役者や早口になると途端に聞き取れない役者も。

しかしダンスシーンでの勢いなどはやっぱり若さは素晴らしいと感じるし、全力で演技していることが伝わってきてそれだけでうれしくなる。

 

稽古時間は約2カ月だったと言う。

それぞれ進学校である3校の練習時間を合わせるのは大変難しかっただろうし、練習方法や演技指導も苦労したと思う。

 

主力になっていたのは、松本美須々ヶ丘高校の演劇部。

現在市内の高校で最も層が厚く、活発な印象。

また演出を手掛けていた高山拓海の所属する松本蟻ケ崎高校も実力校だ。昨年度の中信地区高校演劇発表会の優勝校でもある。

 

このように現在松本地区の高校演劇は大変活発な印象がある。

それは良い指導者がいるからに他ならない。

他の高校スポーツや文化部の御多分に漏れず、その分野で抜きんでた成績を収めるには優秀で熱心な指導者が不可欠だ。

高校演劇の分野でもまだにその法則が当てはまる。

 

現在松本地域には、大変優秀で熱意ある指導者が集まっている。

まさにこのような時期だからこそ、当地区における高校演劇の飛躍を遂げるチャンスと思う。

 

このような試みは続ける事に意義があるしそこから得た発見や繋がりがさらに躍進の原動力となるはずだ。

ぜひ近い将来松本の高校演劇が全国区として有名になることを期待してやまない。

 

(ピカデリーホール客席より)

 

【作品名】あくしょん!

【劇団名】team昆虫図鑑

【上演日】2016年2月13・14日

【脚本】 郷原玲

【演出】 高山拓海 ・ 青木紀香

【キャスト】 青木紀香、菊池真子、橋本りお、由井菜々花、和田響生、中村葉月、大江香、歌代はる、藤松彩絵、笠松七奈、久保田真世、酒井愛里、田中邑佳、小林董、鈴木優子、高山拓海

【上演時間】 1時間

 

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